最終更新日 2016年1月25日
- 気象用語のもくじ(五十音順)
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- 風
- 春一番、木枯らし一番
- 寒冷渦
- 気候区分
- 雲
- 巻雲、積乱雲、
- 高気圧
- 寒冷高気圧、ブロッキング高気圧
- 降水現象
- 雨、雪
- 前線
- 温暖前線、寒冷前線、停滞前線、閉塞前線
- 桜前線
- 大気層
- 対流圏、成層圏、中間圏、オゾン層、電離層
- 大気大循環
- ジェット気流、偏西風、貿易風
- 台風
- 台風の大きさ
- 竜巻
- 低気圧
- 温帯低気圧、寒冷低気圧、切離低気圧、熱帯低気圧、爆弾低気圧
- 南岸低気圧、高層低気圧
- 風速
- 最大風速、最大瞬間風速
- フェーン現象
雨
温帯低気圧
- 前線をともなう低気圧。衝突する暖気と寒気の温度差をエネルギー源として成長する。
- 前線が折れ曲がると、そこにエネルギーが集中する。そのため、そういう場所で発生しやすい。
温暖前線
- 暖かい側の空気が強い前線。暖かい空気が冷たい空気に乗り上げながら押しやっている。
- 境界面の傾斜は緩やかなため、この前線で生まれる雲はややおとなしめになる。
寒冷渦
寒冷高気圧
- 上空にある寒気によって作られた高気圧。冷たくて重い空気が上空に入るため、地上の空気が押しつぶされて高気圧となる。
- 一般的に高気圧の中は大気が安定して晴天だが、寒冷高気圧の場合は大気が不安定で曇ったり雷雨が降ったりすることもある。
- 寒気が弱めの場合は、上空の大気が冷やされて高層に雲が作られるだけで済む。
- 地上の暖かい空気よりも上空の寒気が重いと、高気圧の中なのに積乱雲が作られて激しい雷雨を起こすことがある。
- ジェット気流の極地方向への蛇行を伴った場合、強力なブロッキング高気圧になることがある。
寒冷低気圧
寒冷前線
- 冷たい側の空気が強い前線。冷たい空気が暖かい空気の下へ潜り込みながら押しやっている。
- 境界面の傾斜が急なため、この前線で生まれる雲は強い雨を降らせる。
- 低気圧の周りでは寒冷前線の方が温暖前線よりも動きが速いため、やがて追いつくことが多い。
気候区分
- 主にケッペンによる気候区分について記す。
- 熱帯
- 最寒月の平均気温が18℃を下まわらないこと。
- ヤシの木の生育可能範囲。
- 亜熱帯
- 温帯
- 最暖月の平均気温が10℃以上で、最寒月の平均気温が氷点下3℃を下まわらないこと。
- 冬季の積雪が根雪にならない。
- 亜寒帯
- 最寒月の平均気温が氷点下3℃に満たないこと。
- 冬季の積雪が根雪になる。豪雪地帯は温帯ではなくすべて亜寒帯となる。
- 寒帯
- 最暖月の平均気温が10℃に満たないこと。
- 寒くて樹木が育たない。
- 太平洋式気候
- 日本海式気候
- 地中海式気候
- 砂漠気候
- 最寒月の平均気温が10℃を下まわらないこと。(寒帯を除くこと)
- 高山気候
雲
- 空中を漂う水蒸気が水滴になり、可視化されたもの。
- 雲が空中に浮かんでいるように見えるが、実際は下が見えないだけである。
- なお、乾いた空気よりも湿った空気の方が軽いので、上へ行きやすい傾向もある。
高気圧
- 周りより気圧が高いところ。気圧を地図の等高線でたとえると山にあたる。
- 一般的に高気圧の中は晴天だが、寒気による高気圧の場合は曇ったり雷雨が発生することがある。(寒冷高気圧)
降水現象
- 水の大気循環のうち、雲から地上へ落ちる部分。
- 液体状態で落ちる雨、固体状態で落ちる雪があり、その中間状態の霙などがある。
高層低気圧
- 対流圏の上層部にできる低気圧。
- 地上の低気圧現象の上に何らかの理由で対流圏の余裕ができた時に生まれることがある。
- 高層低気圧ができると地上の台風や低気圧が2段重ねでパワーアップしたようになる。
最深積雪
- 文字通り、積もった雪の深さのこと。「最大積雪量」ともいう。
- かつては目盛りのあるポールを立てて測っていたが、現在はレーザーで深さを測っている。
- 日本ではなるべく平地で雪の深さを測っている。そのため周囲の平均的な積雪量が得られる。
- アメリカでは谷底や吹き溜まりなど、雪が高く積もる場所で測定している。日本とは違うため、単純にどちらが多いか比較できない。
- アメリカではとにかく記録が出やすい測り方をする傾向がある。だが、斜めに測ることだけはしない。
最大風速
- 日本では連続した10分間の平均値を風速としており、最大風速はその平均値が最大になった時の値である。
- 連続した10分間とは正時から10分ごとに区切ったものではなく、何時何分何秒から10分間というように任意に移動できる区間である。
- アメリカでは風速を3分間の平均値としているため、日本の最大風速より5割ほど高い値になる。(5割はあくまで目安である)
- そのため最大風速45m/sの台風と最大風速60m/sのハリケーンでは、実際には台風の方が勢力が強いという逆転現象も起こり得る。
最大瞬間風速
- 風車などを使った機械式計測器の場合、そのまま得られた風速の最大値を最大瞬間風速とする。
- 音波式計測器の場合、日本では連続した3秒間の平均値がもっとも大きくなる時の値を最大瞬間風速としている。これは機械式測定器との整合性を取るためである。
- アメリカでは音波式計測器の計測した最大値をそのまま最大瞬間風速とするため、日本より2〜3割ほど高い値になる。(3割はあくまで目安である)
桜前線
- 生物前線の一つ。本州〜九州ではソメイヨシノが用いられる。
- 沖縄と北海道ではソメイヨシノが育ちづらいため、沖縄ではヒガンザクラ、北海道ではエゾヤマザクラで代用している。
- 一般に開花した日を桜前線とし、満開はその1週間後ぐらいになる。
ジェット気流
- 成層圏の最下層で、西から東へ向かって流れる大きな風。
- 夏場は夏の高気圧の北側を流れる亜熱帯ジェット気流と、局地を周回する寒帯ジェット気流(寒帯前線ジェット気流)の2つの流れができる。
- 冬場は寒帯ジェット気流が激しく蛇行し、亜熱帯ジェット気流と合流することがある。
- 冬の天気予報の解説でよく「ジェット気流が分かれてる」と言われるうが、実は別れてる方が本来の姿である。
- ジェット気流が蛇行した場合、赤道へ張り出した場所に寒気の高気圧(寒冷高気圧)が生まれ、反対に局地に張り出したところに切離低気圧が生まれる。
成層圏
- 上へ行くほど気温が上がるため、上下の対流が起こりにくく安定している。
- 成層圏の最下層をジェット気流が流れている。
切離低気圧
- ジェット気流の蛇行によって生じる低気圧。赤道側へ張り出したところで生じる。
- 上空に寒気を抱え込んだまま偏西風から切り離されて停滞することも多いため、寒冷低気圧とも呼ばれる。
前線
- 暖かい空気と冷たい空気の衝突する場所。『線』になるのは、あくまで海面(地面)のみであって、本当の境界は面である。(作中では「膜」と表現)
- 暖かい空気の方が軽いので冷たい空気に乗り上げるが、同時に暖かい空気の方は湿気も高いため、上昇して気圧が下がるとともに雲が発生して雨になる。
- 温暖前線、寒冷前線、停滞前線、閉塞前線の4種類がある。
大気大循環
- 地球規模の大きな大気の流れ。東西方向の流れ、南北方向流れ、鉛直方向の
流れと、大きく3つの成分がある。
- おおまかに赤道から極地に向かって、赤道の無風地帯、東風が吹く熱帯の貿易風地帯、風の弱い乾燥した亜熱帯地帯、西からの偏西風が吹く温帯、極地からの冷たい風の吹く極偏東風地帯に分けられる。
台風
- 最大風速が17.2m/s以上ある強い熱帯低気圧。
- ハリケーン、サイクロンも台風の一種といわれるが、それらは最大風速32.7m/s以上であるため、厳密には台風と同じではない。
- ただし日本とは最大風速の算出方法が違うため、単純に「最大風速32.7m/s以上の台風と同じ」とも言い切れない。
台風の大きさ
- 最大風速15m/s以上の強風域の大きさを台風の大きさという。
- 【過去の定義】
- 現在の定義は、1991年に気象庁内部で使われ始めた。だが、当初は「風速」なのか「最大風速」なのかで混乱が見られた。
- それ以前は台風の大きさに定義はなく、マスメディアでは中心気圧が低ければ台風は大きくなるという適当なものであった。
- 気象学者によっても大きさの定義は統一されてなく、独自の基準で大きさをあらわしていたため、かなり混乱があった。
- マスメディアが気象庁の使う大きさの定義を使い始めたのは、1990年代半ばからである。
- その後もしばらく研究家の中には混乱が残っていたが、遅くも旧作の気象精霊記が出た1997年頃には落ち着いたのではないかと思われる。
大気層
- 地球の半径はおよそ6400kmあるが、その上を覆う大気はわずか120kmほどの厚さである。
- なお、大気がほぼゼロになるのは、高度800kmあたりになるが、地上で真空と見做す程度の薄さなら100km付近である。
- 大気層は大きく4つに分けられ、地上より対流圏、成層圏、中間圏、熱圏となる。
対流圏
- 大気が上下に流れる大気層。標高が上がるほど気温が低くなるため、対流が生まれやすい。厚さは平均11km。
- 対流圏の厚さは赤道近くでは17〜18km、極地では9kmだが冷え込みによっては7kmになる場合もある。
- なお、海面から1kmはエクマン層と呼ばれる不安定域で、地形の影響を受ける大気層である。ここが局地気象の対象になる。
- 地上1kmより上が自由対流圏と呼ばれる層で、雲や大気循環などの気象現象を起こす部分である。
竜巻
- 積乱雲の中で生まれ、そこから地上へ伸びてくる激しい渦巻き。地上で生まれ、空へ伸びていくつむじ風とは別。
- 雲の中では、まず横倒しの渦巻きとして生まれる。そこから先端の一方が地上へ伸びるため、発生時の左回りと右回りはほぼ同数である。
- ただし北半球では左回りの方が巨大化しやすいため、左回りの方が観測数が多くなる。
- 右回りと左回りが対になって発生する現象もある。
低気圧
- 周りより気圧が低いところ。気圧を地図の等高線でたとえると谷や窪地にあたる。台風も低気圧の一種。
- 基本的に低気圧周辺は天気が悪く、中心気圧の低い低気圧ほど荒れている。
- 日本周辺では熱帯低気圧、温帯低気圧、切離低気圧、内陸性低気圧の4種類が生まれる。
停滞前線
- ぶつかっている前線の力が拮抗して、ほとんど動かない前線。
- 寒冷前線ほど強い雨は降らせないが、動かないために長雨になる。
南岸低気圧
- 日本の太平洋岸に近いところを通る温帯低気圧。古い気象用語では台湾付近で生まれることが多いため「台湾坊主」「台湾低気圧」と呼んでいた。
- 冬場の南岸低気圧は太平洋側に大雪をもたらせることがある。
- 雨か雪かは地上や上空の気温によるが、関東地方の場合、目安として低気圧が八丈島より北を通れば雨、南なら雪になることが多い。
- この台風が関東地方の南を通ったあと、急に北へ向きを変えると爆弾低気圧になりやすい。
熱帯低気圧
- 熱帯〜亜熱帯地方で生まれる前線を伴わない低気圧。暖かくて湿った空気の潜熱をエネルギー源として発達する。
- 海水温が28℃以上あると生まれるといわれている。
- なお、真冬の日本海でも上空の寒気と海の暖かさによって同じ原理で生まれる低気圧が発生するが、これは熱帯低気圧とは呼ばない。
爆弾低気圧
- 温帯低気圧のうち、急速に成長するもの。日本付近では10月から翌年の5月頃にかけての頃に発生しやすい。
- 日本海にある時に急成長を初め、三陸沖へ抜けた時にもっとも勢力が高くなるパターンが多い。
- なお台風並みに巨大化するのは1月頃に太平洋岸に沿って移動する南岸低気圧で、1日に60hPa以上成長したこともある。
- 【定義について】
- 1980年に爆発的に成長する低気圧として提唱されたが、成長の定義については今もなお混乱している。
- 初期の定義は緯度60度で24時間に24hPa以上成長したもの。ここから緯度φに対して24(sinφ/sin60°)hPa以上と定義していた。
- 日本ではこの定義を受けて24時間で16hPa以上とした時期もあったが、現在は緯度に関係なく24hPa以上成長したものを爆弾低気圧としている。
- なお、気象学者の間では「1時間あたり1hPa以上の成長を12時間以上継続した低気圧」としている。
風速
- 風の強さ。マスメディアでは時々時速何キロを使う人がいるが、一般的には秒速何メートル(m/s)であらわす。
- 日本では直前の10分間の平均値を風速としているため、目の前にある風速計がリアルタイムに示している値は厳密には参考値である。
- アメリカではこの区間が3分間であるため、日本の風速とはそのまま比較するのは難しい。
フェーン現象
- 山の風下側で発生する異常高温現象。
- 湿った風が山を越える時、風上側に雲を作ったり雨を降らせたりする。この時の温度変化は標高差1000mにつき約5℃である。
- 一方で湿気が山を越えなかった場合、乾燥した風は標高差1000mにつき約10℃変化する。
- 仮に2000mの山を越えた場合、山を登った時の風は10℃ほど下がるが、下る時には20℃もの温度上昇になる。
- アメリカのデスバレーなど、標高差4000m以上のフェーン現象によって砂漠化することもある。
ブロッキング高気圧
- ジェット気流が局地側へ蛇行したところに生まれる高気圧で、蛇行を固定してしまう原因ともなる。
- 一度発生すると1か月ほど続くため、長期にわたる異常気象を招く場合がある。
閉塞前線
偏西風
- 温帯地方で螺旋を描きながら吹く西風。
- 地上付近ではやや極地寄りに吹き、上空ではやや赤道寄りに吹く。
貿易風
- 熱帯地方を流れる東風。
- 日本付近では太平洋高気圧やチベット高気圧の南側を流れるため、沖縄地方を除くと滅多に吹くことはない。
雪
- 固体状態での降水現象。地上の気温が7度以下になると降る可能性がある。
- 樹状模様になる雪の結晶は氷点下15度前後で作られる。氷点下25度以下では結晶は成長しない。