気掛かりなフレーズ
COLUMN
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- 新規公開:2015年7月27日
- 最終更新:2021年8月18日
- 本来、報道は事実のみを伝えるもので、ニュースに形容表現──特に主観的な修飾フレーズを加えることは控えるべきものです。
- しかし、実際には陳腐な形容表現(=常套句、言いまわし)が常態化し、耳障りになっています。
- 何かと気になってきたので、そのようなフレーズを集めてみました。
- (五十音順)
- 値千金の〜
- スポーツの試合で、勝負を決めた場面で使われることの多いフレーズ。
- プロスポーツならばともかく、高校野球などのアマチュアスポーツや国際スポーツ大会では使わないで欲しいフレーズ。
- またスポーツ以外で使われる時は、当事者ではなく「マスコミにとって金になるニュース」という本音が透けて見える。
- 熱い夏
- 夏場に仕事や処理すべき課題が多い時に使われるフレーズ。仕事や課題のことを「(夏休みの)宿題」と言うこともある。
- 類似表現に「この夏が正念場」などがある。
- あってはならない事故
- 起きても良い事故などというものはないのだが……。
- 意見を聞かせてください
- 暗に「自分と同じ意見を言え」と強要しているフレーズ。ないしは同調してくれる人だけに集まって欲しいと誘っている言いまわし。
- 耳を貸すというポーズを装っているが、違う意見が出てくると本性をあらわしてケンカ腰で噛みついてくる。
- 役人や女性がこのフレーズを使った時は、まず話し合う気がないと思った方がいい。
- 一般の人の反対
- 方針を撤回する時の常套句。
- 一般の人とは、ネットやメディアで騒いでる人たちの場合が多いが……。これは一般の人か?
- というか、ならば「一般ではない人」って、どんな人?
- うだるような暑さ
- ニュースなら気温とか猛暑日とか使えば十分で、わざわざ形容する意味はない。
- 温度差
- 人や立場による感じ方や知識の量、優先度などの食い違いを意味する。
- 具体的に何を示しているのかがあいまいすぎる。
- 確実
- まだ確定してないできごとを決まったように報じたり、まだ起きてないニュースをあったかのように報じる時のフレーズ。
- メディアの願望でしかない。
- 悲しい事件
- 最近、いじめ自殺で使われるようになったフレーズ。
- 類似表現に「悲しい事故」があるが、いじめ自殺を「事故」を称するのはやめてもらいたい。
- カワイイ
- 敢えて説明しないが、これを幼い女の子が被害に遭った時などのニュースで使うのは良識を疑う。
- 危険なオスプレイ
- 2016年12月に起きた、沖縄でオスプレイがからんだ夜間空中給油訓練の事故で使われたフレーズ。
- 事故は給油機側の整備不良ないしヒューマンエラーが原因だが、マスゴミはすべてオスプレイの欠陥のように伝えている。
- ちなみに、この事故で片方のプロペラを失ったオスプレイはホバリングによる着陸ができなくなったため、住宅地が近くにある基地には戻らずに海岸へ不時着した。この時、無事に着陸できたため、死者どころか重傷者1人出してない。そころが近くが岩場であったため、その後の満ち潮で波に呑まれて機体は大破した。メディアはその事実をいっさい伝えず、大破した映像ばかりを流して危険を誇張して訴えている。
- 疑問の声
- 火のないところに煙を立てようとするフレーズ。勝手な言いがかりで疑問を発してるのは、その記事を書いている記者自身だったりする。
- 清き一票
- 時代遅れ感や素人感のあるフレーズ。今は「大事な一票」「大切な一票」などに変わりつつある。
- 元気をもらう
- 2000年のシドニーオリンピックか、2004年のアテネオリンピックのあたりから急速に使われるようになったフレーズ。
- スポーツ選手の活躍に感動する意味だったのが、長引く不況のせいもあって感化されて自分もがんばるという意味に変わっていった。
- 類似の表現に「勇気をもらう」「元気を与える」がある。
- 個人が感動して自分が言うならいいが、他人が言ったり、まして「与える」などは余計なお世話である。
- 最後の別れ
- 使い古された陳腐なフレーズの典型。
- 先出しジャンケン
- 2016年の都知事選で、メディアが使い始めた言葉。
- 都知事選には「あとから立候補表明するほど有利」という選挙戦術がある。それを『後出しジャンケン』と呼ぶが、小池百合子氏が早々に立候補表明したことから、早めに立候補して選挙活動を始めることを『後出しジャンケン』の反対語として『先出しジャンケン』戦術と言い出した。
- だが、小池氏は特別な選挙戦術を使ったわけでなく、ただ立候補しただけである。ジャンケンでも後出しは卑怯だが、普通に出したものを「先出し」と言うのは、冷静に考えると頭の悪い物言いにしか思えない。
- 残虐なテロ
- テロリズムの意味を考えると重複表現に思える。というか、残虐でないテロってあるのか?
- 史上最高・史上最低
- 新記録ならニュースの価値があると思ってるのか、わざわざ記録を臭わすフレーズが乱発される。
- 中にはツイッター史上とかスマホ史上のように、統計が数年分しかないものも珍しくないため、むしろ胡散臭い印象を受ける。
- というか比較対象がないのに(ないからこそ?)「自己最高記録」と銘打ったこともある。ある作家さんのデビュー作とか……。
- 類似表現に過去最高、統計上最高、自己最高などがある。
- 死傷者
- このフレーズには2つの問題が内在している。
- 1つめはメディアが死傷者を合わせた数が多いほどニュースの価値が高くなると思い込んでいるため、この表現が乱発されている。
- だが、事故や災害に家族や親戚が巻き込まれた人たちには、死者と負傷者を混ぜられた情報には価値を感じない。家族を5人の乗った車が事故を起こした時、死傷者5人と言われてもまったく意味がないのと同じである。
- 2つめは死傷者を合わせるのは、戦争報道の名残という事実である。
- 一例として太平洋戦争の硫黄島の戦いを用いる。この戦いでは日本軍は戦死約1万8千、捕虜約1千を出したのに対し、アメリカは戦死約7千、戦傷約2万2千を出した。戦死者の数を比べると日本の被害の方がはるかに大きいように思える。だが戦争では戦死者も戦傷者も等しく戦力の低下になるため、2つを合わせた死傷者数で比べ、アメリカの被害の方が大きいと判定される。いわば軍事用語からの流用である。
- やたらと戦争を嫌っておきながら、いまだ戦争報道の習慣で伝えるというのは、なんとも矛盾した話である。
- 〜すぎる〜
- 「美しすぎる〜」「天使すぎる〜」「美味しすぎる〜」等、濫用されているが、「それほど」と思うものが少なくない。
- そのせいか、このフレーズを聞くとうんざりして、「だから何?」と言い返したくなる。
- 戦争のできる国
- 侵略戦争を仕掛けられた際に、自衛隊がきちんと対応できるように法整備するだけなのに、それをお花畑たちが「日本が戦争する」という意味で喧伝しているフレーズ。
- あくまで防衛戦争としての「戦争ができる国」であって、戦争を仕掛ける「戦争する国」でも、領土野心のある「侵略する国」でもない。
- 聖地
- 使い古された陳腐なフレーズの典型。現在は使われないが、類似表現に「〜のメッカ」というものがあった。
- 全力を挙げて
- 政治家や役人が好んで使うフレーズをそのまま使ったもの。
- この言葉の裏には「全力でやったのだから不満を言うな。責任を追及するな」という身勝手な意味が隠されている。
- 前途有望な若者
- 何か功績のある若者や著名人の子女などが事件や事故の犠牲者となった場合、「尊い命」の前に更に加わるフレーズ。
- これが一般人の場合は「未来ある若者」と表現が格下げされる。
- 総合的な判断
- 具体的に説明できない時に使われる常套句。要するに、ただの直感?
- 注目される
- 事件や事故でこのフレーズを聞かされると「もっと被害が大きくならないか」と言われてるようで不愉快に感じる常套句の一つ。
- 政治や社会、ゴシップ記事では「何か面白いことが起きないかな」と期待してるだけの中味のない常套句になっている。
- それに騒ぎを煽っている時にも使うため、このフレーズの出てくるニュースは疑って見た方がいいかもしれない。
- 類似表現に「〜から目が離せない」などがある。
- 〜ということです
- 意見を言ったあと、自分ではなく誰かが言っていたと逃げる意味合いのあるフレーズ。
- 一度気にするとニュースの信憑性が気になってくる。
- 当社調べ
- ニュースを都合良くでっち上げる時に使われるフレーズ。
- 事実も公式発表もAと言ってるのに、Bと伝えたい時などに使われる。
- 尊い命
- 命に価値観を持ち込むのは、あまりにも不遜だと思いますが……。
- 今は「尊い命」だけが使われるが、かつては「(地球より)重い命」「大切な命」「一つしかない命」などの類似表現があった。
- 認識が甘い・認識がない
- この立場の人はこういう対応をするべき、この仕事をしてるのなら知っているはずという理想が現実と食い違っている時に使われるフレーズ。
- 大きな事故があるたびに聞かされているような気がする。
- またテレビの情報系バラエティ番組で語られた怪しい常識を、関係者が知らない(本当はそんな常識などない)場合などにも使われる。
- 残された家族
- 遺族といえば済むのに、わざわざ使うフレーズ。
- 反撃の狼煙
- スポーツニュースでも陳腐化したフレーズだが、これを政治や経済などのニュースで聞かされると余計にげんなりする。
- 美人
- ニュースにおいて、被害者を「美人〜」、加害者を「女」と呼び分けるおかしな習慣がある。
- そのため殺した同僚に「美人」が付いてるのに自分にはないと文句を言って捕まった女性がいるという小説よりも奇な実話があるのだが。
- バラエティでも気になるのに、ニュースでも使うのは問題が多いと思う。
- 非人道兵器
- 情緒的で無意味なフレーズ。人を殺す武器に人道的も非人道的もないだろうに。
- では、反対語の人道兵器はあるのか。実は欧米にはある。
- 政府見解 :敵兵を残酷に殺す兵器。恐怖を与える兵器ほど戦争抑止力になるので人道的という考え方。
- 核兵器、化学兵器、バイオ兵器、火炎放射器、など。
- 人権活動家:敵兵を苦しませることなく殺せる兵器。一瞬で殺せるほど人道的という考え方。
- 核兵器(特に中性子爆弾)、意識を奪うタイプの毒ガス、など
- 日本のメディアや人権活動家は核兵器の慣用フレーズとして非人道兵器を使っているが、同じ核兵器を欧米では人道兵器と言ってるあたりが……。
- 必要がある
- ニュースを伝えるだけでなく、上から目線で意見を言ってる意味で、何様だと思えるフレーズ。
- ちょっとその件について調べると、たいていトンチンカンなことを言っている。
- 負の連鎖
- 使い古された陳腐なフレーズの一つ。一時期「負のスパイラル」が使われたが、今は戻りつつあるところか。
- 事実関係の有無は関係なく、強引に複数の事象の関係を印象づけたい時に使われる。
- 平和が一番
- ここだけを切り取ればその通りだが、このあとに「だから相手が襲ってきても戦っちゃダメ」と意味不明なフレーズが隠されている。
- 戦後、日本が戦争しないから平和だと思いこんでる頭の可哀想な人たちが好んで使うフレーズ。
- 街の犯罪者も、市民が平和を願ってるだけでは犯罪をやめてくれない。それと同じだとなぜか彼らはわからない。
- 間違った戦争
- 戦争そのものが外交と政治の失敗による最後の手段ですから、今の時代、正しい戦争など存在しないだが……。
- わざわざこのフレーズを使うということは、「正しい戦争」があると思っているのか?
- このフレーズが使われる時は「敗戦」について語られる場合が多いので、メディア的には「勝つ戦争なら正しい」と言ってるようにも聞こえる。
- みだらな行為
- 主に性的な事件で使われるが、具体的に何をしたのか報じないと事実関係がまったくわからない。
- 痴漢、盗撮、強姦、下着泥棒など性的な意味もあるが、「みだら」には下品なだけで性的な意味を含まないものもあるため、裸や下着姿での外出、糞や尿を撒き散らす行為などもある。
- 未来ある若者
- 犠牲者が若い場合、「尊い命」の前に更に加わるフレーズ。ただし、これは一般人に対する差別的な表現。
- 著名人やその子女などの場合は「前途有望な若者」と表現が変わる。
- 無言の帰宅
- 使い古された陳腐なフレーズの典型。
- 類似のフレーズに「無言の帰国」「無言の里帰り」などがある。
- 勇気をあげる
- 感動から「自分も何かしたい」という衝動が湧く気持ちをあらわした「感動をもらう」が、いつからか「自分も努力すれば何かできそう」という気持ちに焦点を当てた「勇気をもらう」にすり替わった。この時点でも気がかりだが、それがさらに発信する側になった言葉。
- まるで天狗になったように聞こえ、「自分で言うな」「何様だ」という気分になる。
- 許されざる犯罪
- これを聞くと「じゃあ、許される犯罪もあるのか?」と聞き返したくなる言葉。
- ニュースに主観的なフレーズはいらない。
- 歴史にIFはない
- 本来の歴史学はIFを考え、当時の状況や考え方を考察して、文献に残された記録の漏れや間違いを補完していくものである。
- だが、左派勢力による歴史戦プロパガンダに気づかせないため、それが自虐史観だと気づかせないために使われる常套句である。