くじびき勇者さまの雑学総括(書きかけ不完全版)

COLUMN

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新規:2009年11月--日
新規:2013年9月5日
 
 HJ文庫から出ている「くじびき勇者さま」は、おかげさまで好評のうちに完結を迎えました。
 あとがきで解説をしてきましたが、ページ数の都合などで十分にできませんでした。そこでシリーズが終わったこの機会に、まとめてみたいと思います。
 もっとも、古い資料を探して引っ張り出すのは大変なので、十分とは言えませんけど……。
 サイトの準備をしていて、書きかけの記事を発掘しました。不完全ですが追記せず、このまま公開します。今さらですが。(苦笑)
 
 

1番札「誰が小娘よ!?」より
 
 

2番札「誰がお荷物よ!?」より
 
小麦の収穫期について
 日本では一般に麦秋を5〜6月頃としているため、コーンヒル地方で収穫される小麦が秋に実っているため、「あれ?」と思った人が多いのではないでしょうか。
 理由は簡単で、緯度などの自然環境の問題です。麦秋で知られる冬蒔き小麦は、冬に霜柱が立ったり雪が積もる寒い地域では育ちません。
 コーンヒル地方には砂漠がありますが、サクラスで10月下旬にコートが必要なことを考えると、それより北に位置しているため、冬はかなり寒い地方であると推測できます。ちなみにサクラスは山の中腹にあるため、標高が高い場所にあると思われている方がいるかもしれませんが、すぐ下のポルタウが大河にできた港町であることから、せいぜい200メートルぐらいでしょう。むしろ内陸にあるコーンヒル地方の方が標高が高いと考える方が自然です。しかも北を除く三方を山に囲まれているので、北風の吹く冬はかなり寒くなるでしょう。
 という事情から、コーンヒル地方で育てられる小麦は秋蒔きの冬小麦ではなく、秋に収穫される春小麦としました。
 これと同じ理由で、3番札に出たグレーシィ地方も春小麦の地帯としました。
 
 なお、近い緯度ですが11番札に出てくるオギトン村は山に囲まれているとはいえ海から100km程度。またドラゴンが越冬可能な温暖な地域なので、ここは冬小麦の地帯としました。
 
箱や袋のサイズと人間工学
 20kgにすると労働者の負担がなくなるという話は、米Dole社の研究を参考にしました。
 日本でも引っ越し業者の中に一箱25kg以内にすると作業員の負担が減るため、社内の作業規定で定めているところあります。
 この話は引っ越しの時に、実際に作業に来られた方から聞いた話です。
 なので人間工学的に20kg強が、人が運ぶ貨物の重さとして適当な重量なのでしょう。
 
 余談ながら農水省ではお米の俵が旧来の約60kgでは大変なので、半分にした30kgサイズを指導普及させようとしてますが……。
 現場を知らない文系官僚の机上の空論じゃないのかなぁ?
 
 

3番札「誰が聖女よ!?」より
 
 

4番札「誰が女神さまよ!?」より
 
水平線の向こう側に見える森
 正直に白状します。ここは余計な知識があったために、うっかり間違ったことを書いた典型です。
 何を思ったのか、森の木の高さを上限30mで考えておりました。一般的には50m〜70m、最大のもので100mです。
 どうしてこんな間違いをしたのかというと、木の血圧ともいうべき内部の圧力。それが最大でも3気圧なので、木の高さは30mが上限だろうと勝手に思い込んでおりました。もちろん100mを超えるメタセコイアの存在は知ってましたが、勝手に例外と思っておりました。
 なんか調べていったら、森の木の高さは上限30mではなくて、低い森でも一番高い木は30m以上。つまり下限が30mだったんですね。
 し、しまったぁ〜……。
 
 

5番札「誰が守り神よ!?」より
 
ラクス周辺の自然利用
 南米モホス文明のテルブランそのものです。
 
 

6番札「誰が初代大統領よ!?」より
 
熱でエンジンが溶けるかもしれない話
 これは内燃機関を開発する時に、実際に多くの発明家たちが思い込みから開発をためらっていた部分です。
 ところが初期の内燃機関の熱程度ならば、鉄合金でも溶けも変形もせず熱に十分に耐えられました。新しい金属は不要です。
 
 話を読んでサクラスから熱に強い合金の作り方が来て開発できたと考えた人が多いと思いますが、作中に書いた通り、メイベルが求めたのは金属の物性データです。内燃機関の熱程度なら溶けないと確認して、開発に成功したわけです。
 
コーヒーについて
 1番札、2番札で「コーヒー」を出したことを、まったく意識してませんでした。ということで理由の後付けでございます。
 作中で固有名詞を出してたなんて、思いもしてませんでした……。なんでだろ?
 
 まあ、日常では本物を知らず、代用品をその名前で呼んでいることが多くあります。
 シシャモ、シメジ、シャンペン等々。
 スーパーで売られているシシャモは、正しくはカペリンという魚です。見た目が近いというだけで、味も食感もまったく違うそうです。
 シメジは本来は香りのマツタケに匹敵する味部門のキノコの王様です。市販品に多いブナシメジとはまったくの別物です。
 シャンペンの本物が出まわるようになりましたけど、少し前までは質の悪い白ワインに炭酸を入れただけのスパークリングワインが幅を利かせてました。おかげでシャンペンは悪酔いするという汚名を着せられましたけど、本物のシャンペンは翌日まで残りません。
 ということで……。(見苦しいわ!)
 
 

7番札「誰がくじびき女王よ!?」より
 
 

8番札「誰が宇宙人よ!?」より
 
 

9番札「誰が大元帥よ!?」より
 
 

10番札「誰が神の御使いよ!?」より
 
 

11番札「誰が真くじびき聖女よ!?」より