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その他・読み解きメモ/時事報告/時事報告1(基本12巻)

上つ巻
・外国の飛行機が来ると騒いでいるが、まだまだ花道ぞ、九、十となったらボツボツはっきりするぞ。(上つ巻 第6帖冒頭)
 1944年6月17日の預言
 6月11日からサイパン島を中心にマリアナ諸島への空爆が始まり、6月16日未明に北九州八幡製鉄所を狙った空襲がある。
 この時は軍事関連施設への攻撃なので、まだまだ花道。アメリカは10月から国際法を無視して都市爆撃を始める。

 

下つ巻
・これからが正念場だから、(ふんどし)締めてかかってくれよ。秋立ったら神(はげ)しくなるぞ。(下つ巻 第38帖終わり近く)
 1944年8月3日の預言
 マリアナ沖海戦での敗戦で、すでに日本の負けは確定的となった。そのため日本は和平工作を少しでも優位に進められる方法を模索し始める。
 だが、連合軍は和平の呼びかけを何度も無視し、上に書いたように10月からはアメリカは国際法を無視して都市爆撃を始めるようになる。

 

富士の巻
・今のうちに草木の根や葉を日に干して貯えておけよ。保食(うけもち)の神様お怒りだから、
 九十四(今年)は五分位しか食べ物採れんから、そのつもりで用意しておいてくれよ。(富士の巻 第20帖冒頭)
 1944年8月27日の預言。
 肥料と火薬の原料は同じため、1943年は肥料不足で大変な凶作になった。更に1944年は労働力まで戦争に取られたため、収穫が平年の半分にまで落ちたのは事実。
 ただし、1944年の作況指数は97で、それほどの凶作ではない。だが、農村では徴兵に人手を取られて400万人もの労働力不足が起きていた。それに加えて収穫用の農耕機が燃料不足で使えなかったため、事実上半分しか収穫できなかったと思われる。
 なお、1945年は天候不順で史上最低の作況指数67となっている。
・世界は一つになったぞ。一つになって神の国に攻め寄せて来ると申してあることが出て来たぞ。
 臣民(しんみん)にはまだわかるまいなれど、今にわかって来るぞ。くどく気付けておいたことのいよいよが来たぞ。
 覚悟は良いか。臣民(しんみん)一人一人の心も同じになっておろうがな。(富士の巻 第23帖冒頭)
 1944年8月30日の預言。かなり長めの冒頭文。
 内容は戦後体制を模索するダンバートン・オークス会議が終わったことに関する時事報告。
 同会議は、アメリカ時間で29日に終わったため、お筆先はその直後にあっただろうと思われる。
 ここで国際連合の枠組みができ、それまで中立を保っていた国にとっては勝ち馬に乗って日独に宣戦布告する後押しとなった。

 

天つ巻には存在せず

 

地つ巻
・天明(岡本天明)阿房(あほ)なってくれよ。()捨ててくれよ。神かかるのに苦しいぞ。(地つ巻 第12帖末尾)
 1944年9月23日の預言。天明向けの私信。
 もしかしたらこの頃、天明が審神者役を苦痛に感じ、そのせいでお筆先がスムーズに行えなかったかもしれない。
・海の津波気付けてくれ。前に知らせてやるぞ。(地つ巻 第21帖末尾)
 1944年9月25日の預言。
 1944年12月7日午後1時36分に起きた昭和東南海地震(M7.9)への警告ではないかと思われる。
 この地震では尾鷲市賀田地区で9mの津波が記録されるなど、三重県、和歌山県を中心に流失3129戸、浸水8816戸の津波被害が出ている。ただし津波による人的被害は多くても200人台と比較的少ないと思われる。その様子は米軍が空撮している。
 なお預言より前、1944年8月から前兆現象としての群発地震が始まり、9月3日にはM6.3の前震最大の地震が起きていた。
 余談ながら地震の前日、陸軍測地測量部が掛川〜御前崎間の測量を行っており、そこで4mmもの誤差を検知している。また地震発生前10数分前から、掛川付近の水準器が不安定な傾斜を検知し、文字通り前兆現象を示していた。これはまるで測量の日に合わせて地震を起こしたような偶然である。
 
 ちなみに、この部分のみを切り取って2011年3月11日の東日本大震災の言及とするのは間違いだろう。
・今日なれば九月の二十八日であるが、旧の八月十一日どのを拝みてくれよ。二十八日どのもあるのだぞ。(地つ巻 第25帖中)
 1944年9月28日の預言。
 神さまを祀る時、新暦ではなく月の動きを基準とした旧暦で祀ることが大切とする教え。時事報告とは違うが、例えとして預言当日の日付を使っている。
 
 次にこの預言と同じ新暦と旧暦の組み合わせが来るのは、1963年と2039年。
 ここに何らかの意味があるとして2039年を大峠とする解釈があるが、どうやらまったく意味はなさそうだ。
・山の津波に気つけよ。(地つ巻 第29帖末尾)
 1944年10月7日の預言。
 神示のあった7日に台風が志摩半島に上陸。それが中部地方を横断して富山湾へ抜け、そのあと日本海を通って翌8日に北海道へ再上陸している。
 この台風は戦時中であったために満足な天気予報ができなかった。そのため市民にも行政にも不意打ちのような格好となり、四国〜北海道にかけて広い地域で十分な治水準備や避難指示ができず、全国で死者58名、行方不明者45名の被害を出している。
 
 非常にわかりやすい時事報告とは思うが、その反面で同年12月の昭和東南海地震や1945年9月の枕崎台風ほど大きな被害を出した災害ではないため、災害年表から漏れていることが多い。
・この神示読ます様にするのが役員の務めでないか。役員さえ読んでいないではないか。(地つ巻 第31帖冒頭)
 1944年10月7日の預言。
 時事報告というより、ここは世の中に広めようとした神示が、まったく広まるどころか解読すら進んでない事態へのボヤキと思われる。
 まさに役員(世に広めようとしてる人)自身が神示をろくに読んでないと……。
 1944年の旧9月から日本は厳しい状況になると警告したのだが、ついに教えは広まらず、ようやく広まったのは1990年以降になってしまった。

 

日月の巻
・どんなことあっても死に急ぐでないぞ、今の大和魂と神の魂と違うところあるのだぞ。(日月の巻 第31帖文中)
 1944年11月26日の預言。
 1944年10月25日に初めて組織だった神風特攻が行われた。この攻撃にはアメリカ側が混乱し、初めの1か月間で正規空母だけでも6隻が大破して戦線から離脱するなど大きな損害を受けている。
 だが、アメリカは1944年11月24日〜26日にかけて体当たり攻撃の徹底した対策を検討し、以降、急速に効果が薄れていく。
 預言はまさにこのタイミングで、「大和魂」と「神の魂」は微妙に違うと警告し、馬鹿正直に戦わないように注意している。
 だが、日本軍は最初の1か月間の成功体験が忘れられず、1945年2月15日から大規模な特攻作戦を硫黄島を攻撃する連合軍艦隊に対して始め、それまで有志のみだった体当たり作戦に多くの将兵を送り出している。

 

日の出の巻
・三、四月気つけてくれよ、どえらいことできるから どうしても磨いておいて下されよ、
 それまでに型しておいてくれよ。
(日の出の巻 第6帖文末)
 1944年12月5日の預言。
 前文との流れから浮いているため、急ぎの警告と思われる。
 1945年3月は、東京大空襲、硫黄島玉砕、4月は米軍の沖縄上陸、大和の水上特攻、米大統領ルーズベルトの死、ヒトラーの自殺。
 中でもルーズベルトの死が半年遅れていたら、日本に原爆が落とされることも、国連の常任理事国にフランスと中国が入ることもなかっただろうと言われている。

 

磐戸の巻
・節分からは激しくなって激しき神示は書かせんぞ。
 天明神示の御用はこれでしばらく御用済みぞ。その代わりみみ掃除しておいてくれよ(磐戸の巻 第21帖文末)
 1945年1月13日の預言。
 巻末にアメリカのフィナーレ空襲により、日本中の都市が空爆で破壊されることを予言。

 

キの巻
・節分境に何もかも変わって来るぞ、何事も掃除一番ぞ(キの巻 第1帖文末)
 1945年1月29日の預言。
 何度も繰り返している予言。
・イイヨリ(飯依〜四国、讃岐の国)の御用、タニハ(丹波〜京都)の御用御苦労であったぞ。
 皆の者いよいよだぞ、今から弱音では何もできんぞ
 春マケ、夏マケ、秋マケ、冬マケ、ハルマゲドンと申してあろうが
 いよいよだぞ、(ふんどし)しめよ、グレンだぞ(キの巻 第2帖文末)
 1945年2月26日の預言。
 春マケ(インパール作戦/1944年3月〜)、夏マケ(マリアナ沖海戦/1944年6月)、秋マケ(レイテ沖海戦/1944年10月)、冬マケ(硫黄島玉砕/1945年2月)まで事が進んだことを確認。
 ハルマゲドンは予言の直後にあった東京大空襲(1945年3月)か、それとも原爆投下(同年8月)か。
 詳しい戦局を知らされてない国民にとっては、まさに世の中がグレンと変わる瞬間が迫っている。
・三、四月気付けてくれよ(キの巻 第4帖文末)
 1945年3月9日の預言。
 この預言のあった翌未明に東京大空襲が行われる。
・道場開き結構であったぞ、皆の者御苦労ぞ、知らせてあるように道開いて下されよ、
 天と地と合わせ鏡ぞ、一人でしてはならんぞ。(キの巻 第6帖冒頭)
 1945年3月11日の預言。
 天明向けのメッセージ。この頃の動向は確認できないが、キの巻 第1帖、第2帖で指示された道場開きの準備が終わったのだろう。
・天明(岡本天明)代わりに()びしてくれよ、役員代わって詫びしてくれよ(キの巻 第15帖文中)
 1945年3月19日の預言。
 天明向けのメッセージ。

 

水の巻
・この宮、仮であるぞ。真ん中に富士の山作り、そのまわりに七つの山作りてくれよ。
 拝殿作ってくれよ。神示書かす所作りてくれよ。
 天明(岡本天明)弥澄(やす)むところ作りてくれよ。いずれも仮でよいぞ。早うなされよ。(水の巻 第7帖半ば)
 1945年5月4日の預言。
 拝殿の作り方を示しているが、この預言のあと5月26日に鳩森八幡神社に焼夷弾が落とされて3人が焼死。神社も失われた。
 そうなる前にお筆先を下ろす場所を替えるように急かした預言と思われる。

 

松の巻
・食う物ないと申して歩き廻っているが、餓鬼に喰わす物は、もういくら捜してもないのぞ。
 人は神の子だから食うだけの物は与えてあるぞ。神の子に飢え死にはないぞ。いやさかのみぞ。(松の巻 第13帖半ば)
 1945年6月25日の預言。
 戦争末期で日々の食べものに事欠く状況への言及。
 世の中は世論次第で良くも悪くもなると説く中、この当時の喰うに事欠いて空気が悪くなりつつある状況を例に挙げている。
・天も地も一つに混ぜし大嵐、攻め来る敵は駿河灘。富士を境に真っ二つ。
 まず切り取って残るもの、七つに切り裂く仕組みなり。(松の巻 第27帖前半)
 1945年7月14日の預言。
 預言のあった時、7月17日から行われるポツダム会議に向けて、連合国(米ソ英中)は日本の分割統治を画策していた。
   ソ連   = 北海道、東北、(+北関東)
   4国統治 = 東京、(+首都圏)
   アメリカ = 富士山以西の本州、太平洋島嶼部
   中華民国 = 四国、台湾、満州
   イギリス = 九州
  *フランス = インドシナ半島
  *オランダ = インドネシア
 分割案に明示されてるのは米ソ中英+共同統治の5分割だが、フランスやオランダがドイツに占領されたのちに日本に委任統治を任されたインドシナ地域とインドネシアは暗黙のうちにフランスとオランダに返される前提だっただろう。実際、戦後すぐに2国は旧植民地を再植民地化しようと軍隊を送っている。

 

夜明けの巻
・岩戸開きのはじめの幕開いたばかりぞ。(夜明けの巻 第11帖冒頭)
 1945年8月6日の預言。
 広島に史上初の原爆が落とされた直後のお筆先。これで地上でも岩戸開きが始まったと言及している。